平成27年分所得税の確定申告は、平成28年2月16日から同年3月15日までに申告書を税務署に提出します。また、税金を納める必要がある人は3月15日までにこれを納めます。
(税金を返してもらう還付申告の提出はそれよりも前でも受け付けてくれます。)

提出の方法は税務署に直接出向くのが原則ですが、郵送でも提出することができます。この場合、消印が3月15日まででなければ、期限までに申告したことにはなりません。また、郵送するときは、自分用の控えをもらうために、必要な切手を貼った返信用封筒を必ず入れましょう。

税金の納め方は、銀行での納付や、口座振替があります。こちらを参考にしてください。

期限は必ず守るようにしてください。ただし、万が一にも遅れてしまったときでも、「期限後申告」をすることはできます。 しかしながら申告の結果、税金が返ってくるのではなく、納める必要があるひとは、3月15日までに申告または、納税しなかったことによる加算税などがかかりますのでご注意ください。
【延滞税】
  1. 税金を期限までに納税しなかったことに対する、いわば遅延利息のようなものです。
  2. 期限の翌日から納付の日までの延滞税を納付する必要があります。
  3. 納める税金の額に対して、年「14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合。(法定納期限の翌日から期限後申告書を提出した日の翌日以後2か月を経過する日までの期間は、年「7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合。)
【無申告加算税】
  1. 期限までに申告をしなかったことに対する加算税です。
  2. 自主的に期限後申告をしたときには、無申告加算税は5%となります。
  3. しかし、申告をせずに税務署の調査を受けた後で期限後申告をしたり、税務署から決定を受けたりすると、それによって納めることになった税額のほかに、その税額の15%の無申告加算税又は40%の重加算税がかかることになります。気をつけましょう。

申告する内容によって変わりますので、代表的なものを簡単に紹介します。

商売(事業)をしているひとや、不動産の貸付をしているひと
・青色申告者は青色申告決算書
・白色申告者は収支内訳書
給与による収入があるひと
・給与所得の源泉徴収票(原本)
公的年金等をもらっているひと
・公的年金等の源泉徴収票(原本)
退職金をもらったひとで、所得税の清算をしようとするひと
・退職所得の源泉徴収票(原本)
退職所得以外の所得金額の合計額が2,000万円を超えるひと
・財産及び債務の明細書
生命保険料
地震保険料をかけていて、控除を受けるひと
生命保険料控除証明書・地震保険料控除証明書
[保険会社から送られてくるものです。]
[サラリーマンが、既に年末調整の際に控除を受けているときは必要ありません。]
小規模企業共済等掛金をかけていて、控除を受けるひと
小規模企業共済控除証明書
[サラリーマンが、既に年末調整の際に控除を受けているときは必要ありません。]
医療費が多額にかかり、控除を受けるひと
医療費の領収書(原本)
[後日領収書が必要になるひとは、提出時に申し出るか、返信用封筒を入れると返してもらえます。]
住宅借入金等特別控除を受けるひと(この控除を受ける最初の年分)
新築家屋を取得した方

1.住宅借入金等特別控除額の計算明細書
2.土地・家屋の登記簿謄(抄)本
(登記事項証明書)
3.売買契約書などの写し
4.取得した家屋の所在地の住民票の写し
5.金融機関等から交付を受けた住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

よくある間違いは、つぎの通りです。念のためにご確認ください。

【医療費控除の計算まちがい】

  1. 出産にともない受給した出産育児一時金や、そのほか受給した高額療養費や生命保険会社からの入院給付金などは医療費の合計から差し引きます。

  2. 医師の指示によらない差額ベット代は医療費控除の対象として計算できません。

  3. マッサージやハリ代を医療費控除の対象として計算するには条件があるので、税務署などで確認しましょう。

【生命保険会社などから受け取った満期金などの申告もれ】

生命保険会社などから、満期金や一時金を受け取ったときは、その収入が一時所得として申告する必要がある場合があります。生命保険会社などからの書類で、きちんと確認しましょう。

所得税の確定申告書は、通常、住民税も複写で一緒に申告できるようになっています。ですから、基本的に住民税だけの申告をすることはありません。
また、商売(事業)をしているひとは、同時に事業税の申告もできるようになっています。

住民税とは、市町村民税と都道府県民税を総称しているものです。


商売(事業)をしているひとや、不動産の貸付をしているひと、山林所得のあるひとは、確定申告するためにいくら儲かったかを計算する必要があります。
また、これらのひとは、確定申告書を提出する際に、計算明細である決算書(または収支内訳書)を添付しなければいけません。

[決算書の種類]
業種によって異なりますが、大きくはつぎの2つに大別されます。
青色申告者が使用する「青色申告決算書」
白色申告者が使用する「収支内訳書」

『総収入金額』-『必要経費』=『事業(不動産)所得』

ここでいう、『総収入金額』や、『必要経費』は、一般的にいわれる「売上」や「経費」とその範囲が少し違います。事業所得を計算するひとを参考に、簡単まとめるとつぎの通りです。

【『総収入金額』とは?】
一般的にいう「売上高」のほか、「家事消費」や「作業くずを売った代金」、「リベート」なども収入として計算します。
特に、商品を自分や家族用に使ったときなどの「家事消費」は、実際にお金を誰かにもらうわけでも払うわけでもないのですが、収入として計算する必要があります。

【『必要経費』とは】
上の『総収入金額』に対応する原価の代金や、販売費・一般管理費などのいわゆる経費を総称したものです。これらを勘定科目に分類して集計をしていきます。
ただし、事業に必要なものであったとしても次に代表されるものなど、『必要経費』とすることができない場合や、何年かに分けて『必要経費』として計算するものがあるので注意しましょう。(具体例はつぎのQ3を参考にしてください。)

【『計算期間』は?】
1年間を単位として計算します。所得税の場合は、その年の1月1日から12月31日までの期間で計算することになります。(新たに開業したときは、その開業の日から計算します。)

【計上時期にご注意!】 『総収入金額』や、『必要経費』として計算するときに、こんな間違いがよくあります。 年末ギリギリに納品した商品の売上を、代金回収が翌年になるから、とその年の計算に含めない。(仕入れについても同様)

「どの年度で計算(計上)するか」は決められているのです。 基本的に、売上も仕入れ・経費も次のような基準で計上します。 (下記によらないケースもあります。実際には専門家にご確認ください。)

 ◎ これが正解!納品した日を基準に計上する。
  (引渡し基準といわれることもあります。)
 X これは間違い!代金をもらったとき、払ったとき。

【代金を払った年度で全額経費にできないことも!】
車両や什器備品で10万円以上(青色申告者はH24.3.31までに取得分は30万円以上)のものを購入し、一括で支払ったとしても、そのすべてを経費として計上することはできません。

 ◎ これが正解!法律で定められた期間で計算して『必要経費』とする。
  (これを減価償却といいます。)
 X これは間違い!支払がすんでいるので、すべて経費として計上した。

【勘定科目ごとに代表的なものをあげました。注意点のかっこ書きは貸借対照表での科目です。】

勘定科目
注意点
売上高
代金回収がまだでも、12月31日までに納品したものすべての売上を計上していますか?(売掛金・未収入金) 逆に、納品が済んでいないのに受け取った手付金などは、本年度の売上になりません。(前受金)
雑収入 家事消費分や、作業くずなどの売却代金を計上していますか?
仕入高・外注費
代金支払がまだでも、12月31日までに納品されたものすべてを計上していますか?(買掛金・未払金) 逆に、まだ納品やサービスを受けていないのに先に支払った代金は本年度の『必要経費』になりません。(前払金) *これは仕入高・外注費に限らず、以下の販売費・一般管理費でも同様です。
期末商品(製品)棚卸高 12月31日時点で、次のものは在庫として計上します。 (棚卸資産)また、その明細書も作成して保存しましょう。

・未使用の材料や消耗品など
・納品していない商品・製品
・作りかけの半製品・仕掛品
租税公課 次のものは『必要経費』となりません。

・所得税・住民税
・納付遅れなどによる延滞税・加算税など

*事業税や納付する消費税(税込み経理の場合のみ)は『必要経費』になります。
水道光熱費 自宅兼店舗の場合で、事業用と、生活用の区分がされていないときは、合理的に按分し、事業で使っている分だけを経費とします。
修繕費 高額な修理や、修理をすることでその機能が高まるときなどは、減価償却となる場合があります。
消耗品 10万円以上(青色申告者は30万円以上)のものが計上されてはいませんか?
給料賃金 生計を一にする家族に払う給与を『必要経費』とするには、取り決めがあります。確認しましょう。
交際費 お祝いやお香典などで事業に関係があるものは、領収書がなくても『必要経費』にできます。 念のため通知のはがきなどは残しておきましょう。
損害保険料 保険料でも、健康保険料や国民年金、傷害保険や所得補償などの保険料は『必要経費』になりません。
通信費 福利厚生費 地代家賃 事業に関係のない家事関連のものが入ってはいませんか?

作業くずなどの売却代金は『総収入金額』に計上することになりますが、事業用の車両や、機械などの売却による利益や損失は、事業所得ではなく総合譲渡所得となり、他の所得と通算します。総合譲渡所得の計算の仕方はつぎの通りです。
ただし、生活用の車両や什器は非課税となります。

☆譲渡した資産をつぎの区分で分類します。
所有期間が5年以内の場合・・・短期譲渡所得
所有期間が5年を超えている場合・・・長期譲渡所得

☆譲渡益の計算の仕方はつぎの通りです。
(資産を売った金額)-(取得費と譲渡費用)-(特別控除の額)*=譲渡益

*特別控除の額は、その年の短期と長期の譲渡益の合計額に対して50万円です。
短期と長期の両方があるときは、先に短期の譲渡益から差し引きます。
これらの譲渡益が50万円以下のときは、その金額までしか控除できません。
また、短期譲渡所得の金額は全額が総合課税の対象になりますが、長期譲渡所得の金額はその2分の1が総合課税の対象になります

帳簿や棚卸明細、請求書、領収書、納品書、通帳などは保存(7年間、一定のものは5年間)する必要があります。申告が終わったからといって、捨ててしまってはいけません。
年度ごとにまとめて、きちんと保存しましょう。