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小規模宅地等の特例~二世帯住宅でも適用可能!?~

非常に有効な相続対策として、多くの人が活用している "小規模宅地等の特例"

二世帯住宅でも一定の要件を満たせば、被相続人だけでなく

相続人の居住部分に対応する宅地等についても評価減が認められます。

今回は、二世帯住宅における、小規模宅地等の特例の適用についてご紹介します。


1.小規模宅地等の特例とは

相続時の遺産のなかに、

①  居住用や事業用に使われていた宅地等で

②  一定の建物または構築物の敷地になっているものがある場合に

その宅地等の相続税評価額の一定割合を減額できる特例です。

  

2.二世帯住宅で適用は可能?

(1)二世帯住宅での適用について

 二世帯住宅でも、特定居住用宅地等として

80%の評価減の適用を受けることが可能です。

ただし、適用を受けるには、以下の条件に該当する必要があります。

・ 「同居親族」として認められること

・ 「同居親族」が相続開始時から相続税の申告期限まで

引き続き当該宅地等を有し、かつ、その家屋に居住していること 

     

(2)「同居親族」の要件

  被相続人とその親族が、互いのプライバシーを尊重するために

区分して別々に暮らす二世帯住宅の場合、以下の3つの要件を

全て満たしたうえで申告をすれば、「同居親族」として認められます。 

【要件1】 共同住宅の全部を被相続人又はその親族が所有

【要件2】 適用を受ける親族が、被相続人が相続開始の直前において

      居住の用に供していた独立部分以外の独立部分に居住していた

【要件3】 被相続人の配偶者がいない、または被相続人の独立部分に

      ともに起居していた同居親族(相続人)がいない

3.具体例

① 一般的な二世帯住宅の例

【 戸建住宅を左側と右側に区分するタイプの二世帯住宅の場合 】

・ 戸建住宅の左側・・・被相続人である母親が住んでいる

・ 戸建住宅の右側・・・相続人である長男が住んでいる

⇒ 特例の適用が可能です。

長男が上記要件を全て満たせば、構造上区分されている戸建住宅でも、

母親および長男の居住する部分に対応する宅地等も

80%の評価減が認められます。

② 共同住宅の例 

  【 3階建の建物で各階の構成が以下のようになっている場合 】

 ・ 3階部分・・・被相続人である母親が単身で暮らしている

 ・ 2階部分・・・相続人である長男の夫婦が住んでいる

 ・ 1階部分・・・他の利用(親族以外が住んでいる)

 ⇒ 特例の適用が可能です。

長男が上記要件を全て満たせば、母親の居住部分だけでなく、

長男夫婦の居住する部分に対応する宅地等も

80%の評価減が認められます。

4.相続税評価額が大きく異なります!

二世帯住宅の場合は、上記特例が適用可能か否かにより

相続税評価額が大きく異なります。

適用要件をご参考に、相続人の居住部分に対応する宅地等について、

評価額の減額が認められるかどうかをご確認ください。