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消費税!知らなきゃ損する応用編!
Q1.「原則課税方式」と「簡易課税方式」って、どうちがうの?
消費税の計算方法には、「原則課税方式」と「簡易課税方式」の2つの方法があり、「簡易課税方式」は、中小事業者(基準期間の課税売上高5,000万円以下)の事業者にのみ認められた方式です。
「原則課税方式」では、消費税(地方消費税含む)納税額は、(『早わかり入門編』参照)に次のように計算します。
- 課税売上高×8%-課税仕入高×8%
一方、「簡易課税方式」では、次のように計算します。
- 課税売上高×8%(A)-(A)×みなし仕入率
つまり、「支払い消費税」の計算は全く不要で、その代わり「預った消費税(A)」に一定率(みなし仕入率)を掛けて算出した額を「支払い消費税」とみなして、納税額を計算する方式です。
「預った消費税」のみ集計すれば計算できるので簡易課税方式といいます。
Q2.どちらの方式を選んでもいいのですか?
中小企業者(基準期間の課税売上高5,000万円以下)であれば、どちらを選んでもかまいません。中小企業にとって、一つ一つの取引ごとに消費税区分をつける「原則課税方式」は、事務負担がかかります。これを解消するために「簡易課税方式」があるのですが、どちらを選ぶかによって消費税の納税額が高くなったり、安くなったりします。ですから、事前に試算して選ぶことをお勧めします。
また、「簡易課税方式」は一度選択すると、2年間は継続しなければならないので注意してください。
Q3.みなし仕入率は、どのように決められるのですか?
みなし仕入率は、事業の種類に応じて以下のように区分されます。
- 事業区分 控除率
第1種事業 (卸売業) 90%
第2種事業 (小売業) 80%
第3種事業 (製造/建設業等) 70%
第4種事業 (飲食店業、その他の事業等) 60%
第5種事業 (サービス業等) 50%
第6種事業 (不動産業) 40%
自社の事業がどの区分になるかについては、国税庁タックスアンサーを参照ください。
Q4.原則課税と本則課税のどちらが有利ですか?
具体的なシミュレーションを見てみましょう。
≪例≫飲食店を経営しており、今年の予測が次のような場合は・・・?
(端数処理等については配慮しておりません。)
(単位;万円、税込経理)
-
売上高 4,320仕入高(課税) 1,728人件費(不課税) 1,000経費(課税) 1,080経費(非課税) 20差引き利益 492
「原則課税方式」による場合
預かり消費税
4,320万円×100/108×8% =320万円(A)
支払消費税
(1,728+1,080)×100/108×8%=208万円(B)
差引き納税額
112万円
「簡易課税方式」による場合
(A)-(A)×60%(飲食業:第4種事業)
128万円
ごらんのように、この場合は、原則課税方式の方が16万円有利になります。
有利不利の目安を簡単にまとめると、以下のようになります。
課税仕入の合計÷課税売上の合計>みなし仕入率の場合→原則課税が有利
課税仕入の合計÷課税売上の合計<みなし仕入率の場合→簡易課税が有利
Q5.消費税を還付してもらおう!
預り消費税より支払い消費税の方が多い場合には、消費税が還付されます。
還付される代表的なケースは、次のようなものです。
●事業開始の初年度で、売上はあまりないが、経費の支払がかさんだ。
●多額の設備投資を行った。
●売上のうち輸出の割合が多い。免税取引のため、預かり消費税がほとんどない。
しかし、これらに該当しても、免税事業者であれば、納税の義務も無い代わりに、還付も受けることはできません。
このような場合には、免税事業者があえて課税事業者となり還付を受けること選ぶ(適用を受ける)ことができます。そうすれば、基準期間の課税売上高が1千万円以下であっても消費税の納税義務が生じるため、計算した納税額がマイナスであれば還付を受けられます。
課税事業者となるためには、その適用を受けようとする年度初日の前日までに「課税事業者選択届出書」を提出しなければなりません。(その年度が設立事業年度又は事業開始年であれば、その年度の末日まで)
*但し一度選択すると2年間(一定の場合は、2年以上)は必ず課税事業者となるため、判断は慎重に行ってください。
Q6.法人を設立して、消費税を節税しよう!
例えば、平成26年度の課税売上高が1千万円を超えていると、平成28年度より消費税の納税義務者となります。
その個人事業者が、法人を設立し、今の事業を法人で継続するとしましょう。
そうすると、個人事業者としての事業は法人を設立と同時に終わります。
(*この間の消費税は納税します。)
次に、法人の消費税の納税について見てみましょう。
法人はできたばかりですから、基準期間(2年前)の課税売上は「ゼロ」となります。
つまり、法人成りをすると基準期間の課税売上高が「ゼロ」の期間が最大2期あることになり、この間は免税になるのです。
ただし、資本金が1000万円以上の法人の場合には、1期目から課税事業者となるため、最低資本金制度の特例の活用や、設立する法人を有限会社するなど、資本金を1000万円以下にする工夫が必要となります。