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所得税! 確定申告 知って得する応用編!
赤字でも申告すれば税金がかえってくる!
例えば、サラリーマンとして給与をもらっていた方が、年度の途中で独立したとしましょう。そして、その開業した商売が、先行投資や経費が多くかかり赤字だったとします。
この場合、赤字なので申告義務はありませんが、申告すると税金がかえってきます。
なぜなら、「退職するまでの給与」から税金(源泉所得税)が引き算されていますが、年末調整していませんので、所得税の精算はされていません。
したがって、正しく源泉されているとすると、給与所得と事業所得の損が通算されて源泉所得税の一部がかえってきます。
だから、確定申告したほうが有利です。
青色申告で赤字を繰り越す!
他に所得が無いものとして、事業所得が赤字の場合には、確定申告をする必要はありません。でも、青色申告書を提出することによって、その赤字を翌年以降3年間繰り越すことができます。
例えば、1年目の事業所得が500万円の赤字で2年目に700万円の利益がでたとすると
平成27年 -500万円を青色申告書にて提出
平成28年 700万円-500万円=200万円が所得金額
となります。
この200万円から、扶養控除や基礎控除を引き算して課税所得を計算し、税金を納めることになります。
もちろん、平成28年度も青色申告書を提出しておく必要があります。
なお、青色申告の届出の提出期限は、開業初年度については、次のとおりです。
- 1月15日以前に事業を開始した場合はその年の3月15日まで。
- 1月16日以降に事業を開始した場合は、2ヶ月以内
また、白色申告者が青色申告をしようとする場合には、確定申告期限までに提出すれば、その年度より青色申告で確定申告することができます。
損失を繰り戻して税金を還付する!
先ほどの例で生じた500万円の赤字について、青色申告の場合は、この損失を前年に繰り戻して税金の還付を請求することもできます。
例えば以下のような場合を想定してみましょう。
平成26年 1000万円
平成27年 -500万円
この場合には、平成27年の500万円の赤字を平成26年に繰り戻して平成26年の税金を再計算し、差額を還付してもらうことができるわけです。
もちろん、平成26年度も青色申告書を提出している場合に限られます。
その他の青色申告の特典を活用する!
純損失の繰越控除や繰り戻し還付のほか、青色申告には次のような特典があります。
【青色申告特別控除】
その事業所得から、青色申告控除として最高65万円を控除することができます。
ただし、この特別控除を受けようとする場合には、正規の簿記の原則(複式簿記)にしたがって作成した貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付しなければなりません。
でも、いずれにせよ消費税の免税点が1000万円に引き下げられ、きちんとした帳簿をつける必要があるわけですから、白色申告の場合には、青色申告の手続きをするのも十分メリットがあります。
【青色事業専従者給与】
青色申告者がその事業に従事している生計を一にする親族(15歳未満を除く)へ支払う適正な給与(事前に届出が必要)については全額必要経費になります。
一方、白色申告の場合は、支払った給与の額に関係なく1人につき最高50万円(配偶者の場合には最高86万円)しか必要経費になりません。
日本の所得税は「超過累進税率」となっており、所得が多ければ多いほど税率が高くなります。
したがって、例えば1人で1000万円の事業所得として税金を納めるより、専従者に給与を払って所得を分散したほうが、家族全員で納める税金のトータルは安くなります。
白色申告の場合と、青色申告の場合にどれぐらい税金がちがうが具体例で計算してみましょう。
白色申告 |
青色申告 |
|
---|---|---|
売上高 |
3000万円
|
3000万円 |
仕入・経費 |
2000万円 |
2000万円 |
専従者給与(控除) |
86万円 |
300万円 |
青色控除前所得 |
914万円 |
700万円 |
青色申告特別控除 |
0 |
55万円 |
事業所得金額 |
914万円 |
645万円 |
所得控除 |
200万円 |
200万円 |
差引所得金額 |
714万円 |
445万円 |
所得税・住民税 |
171万円 |
91万円 |
事業税 |
21万円 |
7万円 |
夫の税金合計 |
192万円 |
98万円 |
妻の所得税・住民税 |
0 |
19万円 |
家族の税金合計 |
192万円 |
117万円 |
白色申告で所得が1000万円の場合、青色申告の特典をちょっと活用すれば、75万円もの税金が安くなります。青色申告にはこのほかに、貸し倒れ引当金などの特典があるため、うまく活用すれば、より一層税金を安くすることができます。